Für Anfänger (15)

カフカ 『変身』(15)、承前。

・やっとドアが開きました。

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 グレゴールは椅子を利用してゆっくりとドアの方に移動し、そこで椅子から離れ、ドアにむかって身を投げて、ドアを支えに直立の姿勢を保つと――の脚の裏のふくらみはすこしねばついていた――、力を尽くしてたまった疲れを回復するためにちょっとそこで休んだ。しかしそれから彼は、口を使って錠前の鍵を回すことに取り掛かった。残念なことに、彼には本当の意味での歯というのものがないようだった――を使って鍵をつかむのだろう? しかしその代わりに、顎が大変に強力だった。顎の力を助けに、なんと彼は実際に鍵を動かしたが、間違いなく何か傷を負ったことには気がつかなかった。というのも、茶色の液体が彼の口から流れ、鍵を伝って床にぽたぽたと滴っていたからだった。「ちょっと聞いてください」と隣の部屋にいる支配人が言った。「鍵を回しています」これはグレゴールにとって大変な激励だった。しかしみんなに呼びかけてほしかった、父にも母にも。「さあ、グレゴール」とみんなに声をかけてほしい、「ほらこっちに、ちゃんと錠前につかまって、こっちに」そして皆が自分の頑張りを固唾を飲んで見守っているところを想像しながら、集められるすべての力で、常軌を逸して鍵に食らいついた。鍵の回転が進むにしたがって、彼は鍵の周りで身を踊らせた。いまや口のみで直立の姿勢を保って、必要に応じて彼は鍵につりさがったり、あるいは身体の全重量を使って鍵を下ろしたりした。最終的に鍵が開くカチッという冴えた響きで、グレゴールは正真正銘、はっと意識を取り戻した。安堵の息をつきながら、「これで鍵屋は必要ない」と思った。そして頭部を取っ手の上に乗せて、完全にドアを開いた。

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